Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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びしょうじょいちばんのり

美少女一番乗り

山本 周五郎

Lesen Sie 美少女一番乗り (びしょうじょいちばんのり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 73.583 Zeichen · 149 Bildschirme

Aozora Bunko

「でも、お父上さまがもしや……」

「いけませぬ」

千草は優しくたしなめるように、

「昨日はあれほどお悪かったのが、今朝ほどからよほどお楽の御様子と、御殿医さまがおっしゃったではございませぬか、――家中の方々が神仏にお縋りして御平癒をお祈り申し上げているのですもの、きっと御本復遊ばしますわ」

「千草はそうおいいだけれど」

満里子姫は悲しげにいった。

「お父上さまにもしもの事でもあると、あの怖い麻布の頼母が後見役になって、きっと満里は悲しい目に遭わされるのだわ」

「そんな事がございますものか、お姫さまは金森家のお一粒種、家臣もこれだけ揃っていますものを、なんでお姫さまに悲しい目をおみせ申しましょう」

「本当にそうかしら……」

満里子姫は力無げに眼をあげて、

「満里はそう思えないわ、本当に満里のために忠義を尽くしてくれる家来が何人あるだろう、――金森家の事は思っても満里の仕合せなんか考えてもみない者たちばかりではないの、……侍ばかりではなく、女中たちだってその通りだわ」

「まあ、そんな悲しい事をおっしゃっては」

「いえ、本当なの」

満里子姫は嘆息と共にいった。

「その証拠には、満里の大事な大事な和蘭人形さえ、もう誰かが取ってしまったわ」