Japanische Klassiker mit Furigana
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びしょうじょいちばんのり
美少女一番乗り
山本 周五郎
Lesen Sie 美少女一番乗り (びしょうじょいちばんのり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 73.583 Zeichen · 149 Bildschirme
お通は答えられなかった。父が島津家にいると言えば、自然と天下の珍宝「宋朝の冑」を紛失した不始末が知れる、そうなれば一族死罪になると藤兵衛から言われていた。――しかし父殺しの疑いを受けているのだから答えない訳にはゆかぬ、どうしたらいいかと思っていると、
「申し上げます」
と藤兵衛が言った。「主人治兵衛は半月ほど以前、商用のため上方筋へ旅立ちましてございます」
「上方とはどことどこじゃ」
「は、そ、その、京、奈良……」
言いかけた時、不意に仁王像が、
「嘘だ、嘘だ、藤兵衛は嘘をつく」
と例のむせぶような声で言った。――居並んだ人々はぎょっとして、
「あっ、また仁王様が」
と色を変える。お通は先夜、その仁王像に極悪非道の不孝者と言われた事を思い出して、
「お奉行さまに申し上げます」
と向直って言った。「藤兵衛は父が上方へ参ったと言いましたけれど、実は島津様のお屋敷に押籠められているのでございます」
「島津家に押籠められたと? してその訳は」
「お聞き下さいまし」
お通は藤兵衛が袖を引いて止めようとするのを振切って、冑の塵払いを頼まれた事からその紛失、父をつれて行かれた仔細を歯切れよく語った。