Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ききがきしょう
聞書抄
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 聞書抄 (ききがきしょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.821 Zeichen · 210 Bildschirme
て、拝謁を願い出たのであった。と云うのは、元来自分は治部少輔の臣であるから、関白家が亡びた今は、一往舊主の許へ返り、己が一身の処置について指揮を仰ぐのが当然であると、左様に考えたからであったが、しかし順慶がそう云う行動を取るのには、少からぬ勇気を要したことであろう。なぜなら彼は、何一つとして舊主のために手柄を立てゝいないのみならず、去ぬる文禄三年の秋、わざ/\邸へ呼びつけられて怠慢の廉を咎められ、厳しい叱責を蒙った折には、畳に額を擦りつけて詑び言を述べておきながら、その後も当らず触らずの報告を差し出したぐらいなことで、格別信任を取り返すような働きをせずにしまったことを思えば、たとい戻って行ったところで、舊主が喜んで迎えてくれる筈はないし、悪くすれば罪科に問われるかも知れないからである。にも拘らず、閾の高いのを怺えて、その門を潜ったと云うのは何の意であったか。蓋し順慶は、まだその時まで武門の意気地を捨て切れなかったのであろう。即ち彼としては、切腹仰せ付けられようとも武士たる道を蹈み違えまいとする一念が、心中に燃えていたので、舊主に見えてその裁断に服しようとしたのであろう。