Japanische Klassiker mit Furigana
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ききがきしょう
聞書抄
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 聞書抄 (ききがきしょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.821 Zeichen · 210 Bildschirme
その六
治部殿は又御前へ出て、兵部が斯う申して参りました、もはや隠れはござりませぬなどゝ、言上なされたのでござります」
挿絵
順慶は娘と乳母を前に置いて、
「まあ、もう少し、………もう少し聞いて下さりませ」
と、気色ばむ二人を制しながら、自分の舊主三成のことをこんな工合に云うのである。
その六
「こう申しますと、治部少輔殿がさま/″\の人を道具に使うてまことしやかな噂を立てさせ、事を大きくなされたようにも、取れるかも知れませぬ。さ、それをお身たちは、愚僧が好い加減なを構えて、三成公を讒者にするのだと、仰っしゃるでもござりましょうが、かりそめにもお姫様の御父君、愚僧に取りましても大恩のある舊の御主人でござりますものを、何しに證拠のないことを申しましょうぞ。只今の話は、その頃兵部殿の口から確かに聞いたのでござります。したが、治部少輔殿としましては、御自分が悪者におなりなされても、殿下や若君のおためを謀るのが忠義であるとお考えなされたのでござりましょうか。そうして僅かな瑕瑾でもあれば、それを種にして関白殿を陥れようと、もう朝鮮にいらっしゃる時から、手がゝりを求めていらしったのではござりますまいか。