Japanische Klassiker mit Furigana
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ききがきしょう
聞書抄
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 聞書抄 (ききがきしょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.821 Zeichen · 210 Bildschirme
その時殿は、びっくり遊ばしたようなお声で、何、何と云うぞと重ねてお尋ねなされましたので、さればでござります、眼が開いておりますると盲人の真似をしておりますることを忘れて、いかなる不覚を取らぬとも限らず、かくてはお役目が勤まりかねると存じまして、小柄を以て両眼を抉りましたのでござります、と申しましたら、暫く何のお言葉もござりませなんだが、やゝあって仰せられますのに、それは近頃珍しき所行じゃ、しかしつら/\考えるのに、そちのしたことは忠義のようで忠義にあらず、餘人を欺くことは出来ても此の三成を欺くことは叶わぬぞ、その方座頭に相成ったのは一時の方便ではないか、たとい現在は姿を窶して当道の座に加わっておろうとも、やわか軽々しく両眼を害うことやある、又その方が盲人の真似を致せしは、敵方に油断をさせて様子を探るためではないか、然らば人一倍眼も見え、耳も聞ゆるようにとこそ願うべきに、物も見えず、進退にも事を缺くように相成、何として手柄をたて得らるゝぞ、役目を大切に存ずる故にまことの盲人になり果てたりと申すこと、少しも言分立ち難し、父母より受けたる身体髪膚を妄りに毀り傷つくるは古人の戒むるところであるのに、その方が行いは、旁以て不審に存ずる、斯程の道理を弁えぬ其方とも思わなんだが、と、苦々しそうに仰っしゃりますのを伺い