Japanische Klassiker mit Furigana
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ききがきしょう
聞書抄
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 聞書抄 (ききがきしょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.821 Zeichen · 210 Bildschirme
物のわけをも知ぬ者ども、小肘つかんで引立、車一両に二三人づゝ引のせ奉るさへに、若君姫君の御事さま、扨も/\と云ぬ者なく、其身の事は不レ及レ申、見物の貴賤もと鳴出、しばしは物のわけも聞えざりけり、世に在し時は、花やかなる有さまにて有べきが、昨日は今日に引かはり、白き出立の外はなし、若君姫君をお乳人にも、はやそひまいらせず、御母おやの膝の上にいだき給ひしに、何心もなく、おち(お乳の人)もこゝへなんとのたまふの、いたひけさ、あはれさ、此上あらん共覚え侍らず、三条河原に着しかば、車よりいだきおろし奉りぬ、各秀次公の御首の前へ、我おとらじと、はら/\とより給ひ、ふしおがみ候しさまあさからず見えにけり、一の台と申は、菊亭右府の息女なれば、いづれもよりは上におはしけり、行年三十四歳、今度の御謀反の沙汰ゆめ/\なき事を、増田石田がさゝへに、かくならせ給ふ事のあはれさ、是非なくおぼして、かくなん
心にもあらぬ恨みは濡衣の
つま故かゝる身となりにけり
挿絵
或は云う、
一番には、上の御方一の台の局、前の大納言殿御娘、御年は三十路に餘り給へども、御かたち勝れ優にやさしくおはしければ、未だ二十ばかりにぞ見え給ふ。