Japanische Klassiker mit Furigana
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ききがきしょう
聞書抄
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 聞書抄 (ききがきしょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.821 Zeichen · 210 Bildschirme
ものと見え、わたしのところへも使をよこして、速く来ないかと云って来ましたので、まだお帰りには間があるかしらと思いながらお座敷の体をのぞいて見ますと、ちょうど御酒が二三献過ぎた時分らしく、一人の女房が引出物に、廣蓋の上へ小袖を載せて持って出て来るところでしたが、その女房と云うのが、二十にはならないほどのうら若さで、練絹の肌小袖に紅花緑葉の単衣をかさねて、くれないの袴を蹈んで、長い髪を揺りかけている姿の美しさ、染殿の妃、女御更衣と申してもきっと此れほどではあるまいと思われて、あゝ、人間に生れたからにはこう云う人と言葉を交し、枕を並べたいものだが、それにしても今一度出て来てくれないものかしら、せめてもう一と目とっくり顔を見たいものだと思いましたら、その時からあくがれ心地が胸をとざして、忘れようとしても忘れられず、うつゝともない恋になってしまいました。それから宿へ帰っても上※(「藹」の「言」に代えて「月」、第3水準1-91-26)の姿が眼の前を去らないので、食うものも食わずに打ち伏したなり四五日のあいだも出仕しなかったものですから、近頃糟屋はどうしているかと云う