Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ききがきしょう

聞書抄

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 聞書抄 (ききがきしょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.821 Zeichen · 210 Bildschirme

Aozora Bunko

のだから、歩き倒れて死ぬところまで行ってみようと決心しまして、西国をさして上りますうちに、不思議な縁で河内の国を通りましたので、今頃ふるさとの篠崎はどんな有様になったであろうと、昔の館の堀のほとりへ立ち寄ってうかゞってみますと、築地はあっても屋根は崩れておりますし、門はあっても扉は外れておりますし、庭には草が深く繁って、家と云う家はあとかたもなく壊れてしまい、わずかにあやしい賤の庵が二つ三つ残っているだけで、それさえ雨風をしのげそうにも見えないのです。私はそゞろに眼もあてられない思いがして、涙を流して通り過ぎようとしましたが、ふとそのあたりにいやしい身なりをした一人の尉が田を打っていますのを見て、これに聞いたら以前のことを知っているだろう、尋ねてみようと思いまして、もし、尉どのよ、こゝは何と云う所ですかときゝますと、尉は着ていた日笠をぬいで、篠崎と申す所ですと答えるのです。では何と云う方の御領分ですかと、かさねてきゝますと、篠崎殿の御領分ですと云いますから、さては私の一族のことを知っているなと思いましたので、田の畔に腰を休めて、それとなく話しかけましたところが、尉も鍬を杖につきながら、こゝの御領分を持っていらしったお方と云う