Japanische Klassiker mit Furigana
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ききがきしょう
聞書抄
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 聞書抄 (ききがきしょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.821 Zeichen · 210 Bildschirme
歌を詠んだ次第でござりましたが、そうれ、御覧なさりませ、殿下は間もなくおなくなりなされ、治部どのは今此のような始末におなりなされて、あの歌の通りになったではござりませぬか。お気の毒ではござりますけれども、これはみんなあの時から定まっていたこと、何も/\約束事だと思し召さねばなりませぬ。のう、そこなお二人のお方、愚僧の申しましたことがお分りになりましたかな」
「さあ、道理はそうでござりましょうが、………」
と、乳母はよう/\一と言云って、口惜しさに声を詰まらせた。殿様のことを人が何と云おうとも、たゞおとなしく、はい/\と聞いていたらよいのだ、うっかり乗せられてはならないと、日頃用心していたのであったが、あまりな言葉に我知らず応じてしまったのである。
挿絵
「………かりにも出家のお身の上として、首になられたお方にまで耻をお掻かせなされますとは」
「あゝ、もし、………」
「それともお前様は、此のお方に遺恨がおありなされますのか」
「あゝ、もし、仰せの通り愚僧は只今では出家の身の上、治部殿をお恨み申す心など露ほどもありはいたしませぬが、しかしそのように聞えましたのなら、頭は圓めておりましても畢竟は凡夫の浅ましさ。