Japanische Klassiker mit Furigana
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ききがきしょう
聞書抄
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 聞書抄 (ききがきしょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.821 Zeichen · 210 Bildschirme
返す/″\も左様なことを云うではないぞ。壁に耳ありと申すことがあるぞ。と、そうきっぱりと仰っしゃって、おたしなめになりましたが、常陸介はなおも膝を乗り出して、御諚ではござりますけれども、戦と云うものは時の運でござりますから、人数の多い少いには拘りませぬ、しかしそれでも勝ち目がないと思し召すなら、某一人にお任せなされて下さりませ、憚りながら、御城中へ忍び入りまして、殿下のお命を亡きものにして参りましょう、それなら何の雑作もないことでござりますと、至極やす/\と申しますので、なるほど、そちは忍びの名人であったな、だがそれは時と場合に依る、もうその話はしてくれるなと仰っしゃって、やはりお許しがござりませなんだ。常陸介は又重ねて、そう云うことでござりますなら、兎に角某に三日のお暇を下さりませ、その間に大坂のお城へ忍び込み、何にてもあれ、御天守にあるお道具を一と品取って参りましてお目に懸けるでござりましょう、その證拠を御覧なされました上で、御決心を遊ばしてはと、そう申して御前を罷り出でました。殿は、いや/\、覚束ないぞ、もし仕損じて捕えられたら何とする、止せ/\と仰っしゃったそうにござりますが、常陸介はそのゝち所労と申し触らして出仕を止め、直ぐに大坂へ罷り下ったのでござります。