Japanische Klassiker mit Furigana
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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
Lesen Sie 脱線息子 (だっせんむすこ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.293 Zeichen · 221 Bildschirme
「ヘヽヽヽ」
と新太郎君は昨今妙に頬の筋肉の緊張を欠く。
「笑いごとじゃありませんよ」
と母親も窘めた。
「御安心下さい。私だって考えています」
「取越し苦労のようだけれど真正にしっかりしておくれよ」
「大丈夫です」
「この頃の娘さんはツク/″\羨ましいと思いますわ」
「何故ですか?」
「時代の所為かも知れないけれど、お母さんはお父さんに大切にされたことなんか些っともないんですからね」
「何を変なことを言っているんだい」
と父親は例の鬼瓦に戻る。
「ところで、お母さん。真正に通り一遍の挨拶丈けで宜いんですか?」
「宜いのよ。家は家同志、お前達はお前達同志で。宮地さんと友三郎さんと渋谷の伯父さんとで悉皆呑み込んでいてくれます」
「はあ」
「それは分っているわね、お父さんからもお母さんからもよ」
「はあ。両親からと申します」
「先方のお父さんとお母さんへもよ。先に若い方々にお目にかゝって後からでしょうから、忘れないようにね」
「承知しました」
「それじゃ行ってお出」
と母親が送ってくれた。
銀座は空いた円タクが止度もなく通る。新太郎君は車体の新しいのを物色するため三四台遣り過ごしてから頷いた。