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Japanische Klassiker mit Furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme

Aozora Bunko

「親孝行もんよ。おふくろも安心でがんひょう。でも、その煙草葉、大丈夫なのけえ?」

「大丈夫とも」

深い谷の底である。四方の山がきりたっているので、この部落には、朝の光線がさすのはおそく、日の暮れるのは早い。まして、日の短い秋であるから、まだ三時というのに、もう黄昏のようだ。部落の名は、広島県比婆郡峯田村字峯。

はげしいせせらぎの音をたてる谷川の岸で、二人の若い村の娘が話をしている。健康そうなのは共通しているが、マンの方は丸顔の小柄、キヌの方は長顔で、おそろしく背が高い。

粗末な木綿着のマンは、川岸にある二段歩ほどの煙草畠にしゃがみ、しきりに落ちた古葉をさがして重ねる。ていねいに、皺をのばす。なれた手つきである。

野良着で、手に鎌を持っているキヌの方はススキの林のなかに、あおむけにひっくりかえって、

「やあれ、もう、狐さんたちが鳴き騒いどらあ」

と、のんきたらしく独りごとをいいながら、無意味に、バサッ、バサッと、ススキをたたき切っている。

深い山には、狐、狸、兎、猿、などがたくさん居り、ときどき、猪があらわれることがあった。昔から現在にかけて、狐に化かされた話は数えきれない。