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Japanische Klassiker mit Furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme

Aozora Bunko

涎のたれるほど、惚れ惚れする。白のままで置いとくなんて、ほんとに、もったいないわ」

「般若の五郎さんも、そんなこと、いうとったなあ」

「ねえ、彫んなさいよ。立派な男の紋章じゃないの」

「お京さん」

「あい」

「あんたが、彫ってくれるのかね?」

「勿論、そうよ。誰が、ほかの人に彫らせるもんですか」

「よし、彫ろう」

後には、生涯の禍根となり、そのときになって、どんなに後悔しても追っつかなかった彫青を、このとき、金五郎は、或る陶酔感をもって、肉体に刻印しようと、決意したのであった。

「えらい」

お京は、大仰に、賞讃の声をあげて、ニタッと、会心の笑みを洩らした。

その翌朝、まだ暗いうちに、二人の姿は、武蔵温泉から、消えた。

博多市を貫流する那珂川、春吉橋の畔、流れに面した小粋な待合の一室で、二人の奇妙な生活がはじまった。

まず、左腕から、昇り龍を彫ることになった。どこを旅するにも、お京は、道具一式を携帯しているらしい。お京は、下絵を描かない。ぶっつけに、白紙の腕に、彫って行く。右手に、小町針を数本、束にして持ち、左手に、墨をふくませた筆を持って、針を肌に突きさす端から、色を入れる。