Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme

Aozora Bunko

そんな押し問答をしていると、騒ぎを聞きつけて、お京が出て来た。腹をかかえて、笑いだした。

「笑いごとじゃないよ」

不機嫌なその金五郎の言葉には答えず、お京は、なお笑いながら、仲居に、蒲団は二つにするように、命じた。

夜も、彫青作業はつづけられた。

時期を指示されて、金五郎は、風呂に入る。特に彫青のために、一日中、湯が湧かしてあった。熱い湯にひたると、針を立てられる以上の苦痛をおぼえた。腕がしびれ、もげそうに、疼く。しかし、入浴しなければ、ほんとうの色が出て来ないのだった。

寝る段になると、金五郎は、一苦労だ。お京が風呂に行った隙に段取りをした。仲居が敷いて行った二組の蒲団を、六畳の端と端へ寄せ、間を出来るだけ離す。それでも、不安なので、中間に、部屋にあった金泥の二枚屏風を立てた。

湯から上って来たお京が、笑いだして、

「金五郎さん、それ、なんの呪禁?」

「魔よけじゃ」

「魔がいるの?」

「居るよ」

「どんな魔?」

「気色の悪い魔じゃ」

「変なひとねえ」

笑っていたお京の切れ長の眼が、複雑な思いをこめた秋波になる。

お京が、金五郎に対して抱いている関心は、単に、彫青だけではなくなっていることは、疑いなかった。