Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
にやけた声で、しかし、威嚇するように、善助を口説く。
「僕が、一口きいたら、今日にでも、マン坊は、工場をクビになるんだよ。まったく、僕のおかげですよ」
善助は、苦虫をかみつぶした顔で、答えない。やけに、鉈豆煙管で、煙をふかす。イワも、無言で、ワラジを編む。
或る雨のそぼ降る日、工場の入口から入って来た男を見て、マンは、思わず、手元が狂った。庖丁で、指を切った。
「やあ、精が出よるなあ」
「鬼」であった。相かわらず、黒の詰襟服、黒カバン、黒帽子の大男は、にこにこしながら、まっすぐに、マンの方に歩いて来た。女工たちの間に、くすくす笑いがおこった。
マンが、血のふきでた左の親指を口にくわえて、無言でつっ立っていると、役人は、
「怪我したのかね、どれ」
と、親切そうに、赤ら顔をつきだした。ドブロクくさかった。
「なんでも、なあです」
「そうかい」と、憎々しげにうなずいたが、仕事をしている女工たちを見まわして、「やあ、模範的娘ばっかりの展覧会だなあ」
そういって、身体中をゆすりながら、意味ありげに、哄笑した。
マンは、歯を食いしばった。「鬼」が、水車小屋の中で、罪を帳消しにしてやるからといって、身体を求めてきたとき、「みんな、そうするんじゃがなあ」