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Japanische Klassiker mit Furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme

Aozora Bunko

「危いですわ」

お京が、たおれそうになったギンの身体を支えると、

「酒くらいで、引っくりかやるドテラ婆と思うちょるか」

そういって、女侠客は、全身を大きくゆるがして、哄笑した。

金比羅神社の裏手に、臨時共同便所がこしらえてあった。そこは、断崖になっている。石段は三百段あるから、そこから落ちれば、無論、命はない。

ふっと、お京の胸に、悪逆の心が湧いた。

(素知らぬ顔で、崖の下に落してやろうか。死んだところで、酔余の果ての過失として、誰も、疑う者はないにちがいない)

すると、ギンが、急に、顔をあげて、呟いた。

「おんや、玉井の奴、なにをしちょるとじゃろか? 江崎満吉の子分と、喧嘩やっちょるのか?」

大鳥居から、狛犬の石像にかけて、「若松金物商組合」という、紺の幕が張りめぐらしてある。

そこのところで、金五郎が、四五人の遊び人風体の男たちと、なにか、いい争っていた。金五郎の方は、やわらかく話をしているが、相手は喧嘩腰だ。金五郎は、着物のうえから、玉井組の印半纏を羽織り、手に、一升徳利をぶら下げている。頬は赤いが、酔ってはいない。

このなりゆきを、心配そうに眺めているのは、金物商組合の人たちらしい。