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Japanische Klassiker mit Furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme

Aozora Bunko

しぶしぶ、階段を登る。

重い足どりの子分連中が、八人とも、踊り場まであがりきってしまうと、金五郎は、梯子段を外してしまった。取り外し式になっている。力の強い金五郎は、それを、軽々と、廊下の板の間まで運んで行った。

「マン」

「はい」

「引っこんどれ。出て来んな」

マンは、うなずいて、台所に入った。

柄杓を手にすると、大きな釜の蓋を取って、中をかきまわした。もうもうと、真白い湯気が立つ。

この家に移ったとき、他のところには手をつけなかったが、台所だけは改造した。大勢の集会をしたり、夜業や遠出の弁当を炊いたりするために、どうしても、大きな釜が三つは要る。今、そのうちの二つ、三升釜と五升釜とが、ぐらぐらと煮えたぎっている。糊だった。

十時ごろ、金五郎が、釜になにかを仕込んでいるマンを見て、

「今から、飯を炊くのか」

と、訊いた。

「いいえ、すこし洗い張りをせんならんので、糊を炊いておこうと思うて……」

「ふウン」

夫から、喧嘩に手を出すな、といわれたマンは、暴漢どもが飛びこんで来たら、たぎり立った糊を、頭から打っかけてやろうと考えているのだった。

金五郎は、水の満たされた盥の前に、入口の真正面を向いて、胡床をかいた。