Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme

Aozora Bunko

島の黒い大樹が、風に鳴っているのが、海をへだてて聞える。

それに、耳をかたむけながら、お京は、吐息をつくようないいかたで、

「今日の日を、どんなに待っていたか知れないわ」

と、金五郎へ、しなだれかかった。

「お京さんも、根性が悪いなあ。そんなに、前から、新公のところへ来とることなんて、まるで、知らんかったよ」

「博多から逃げだして、うまく、あたしとは縁が切れたつもりでいらしたのでしょう? ウフフ、金五郎さんて、女の一念というものを、御存知ないのね」

「あのとき、すまんとは思うたんじゃけど、どうにも、ああするしか、仕方がなかったもんじゃから……でも、いつも気にかかっとった。彫青を彫って貰うた代金もあげとらんし、博多の宿賃も、そのままにしてしもうて……」

「野暮なこと、いいっこなしよ。銭金で、あたしがやったと思っていなさるの?」

「でもあんまり……」

「もう、いいの、昔のこと。あたしが、若松に来たのも、たった一つ、金五郎さんに逢いたいためだったし、こうやって思いがかなえられたら、以前のことなんて、どうだっていいわ。……ねえ、金五郎さん、わたしの思いをかなえさせて、頂戴」