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Japanische Klassiker mit Furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme

Aozora Bunko

雨に煙って、ぼかし絵のようだ。入港船か、出港船か、鈍く、汽笛が聞える。

藤本喜八郎は留守だったが、夫人で、すべての話は通じた。「藤本組の女傑」と呼ぶ者もあるほど、杉江夫人はしっかりしていた。

玄関を出るとき、どちらからも、最後の仕上げかのように、

「これで、安心をいたしました」

と、同じことをいって、微笑をかわした。

席に侍って、茶を入れたり、果物をむいたりしていた長女絹子は、それまで、多く口もきかず、表情も変えなかったが、そのとき、ぱっと、赤インキを浴びたように、顔を染めた。

大庭春吉と、マンとは、傘をさして、雨の道を歩いた。

「まずまず、よかったなあ」

「親方のおかげですわ」

「ええ夫婦が出来るぞ。玉井組と藤本組とが手を握りゃあ、鬼に金棒じゃ。祝言は、この春ちゅうわけにも行くまいけ、秋に、早目にやろ。夏は暑うて、かなわん」

「万事、親方にお委せいたします」

「金さんは、まだ、東京な?」

「一週間の予定ということでしたから、もう帰る時分でしょう」

「友田喜造も、一緒らしいのう。フフ……、長い敵じゃなあ。おれは、或るところで聞いたがな、友田の奴が――玉井をこんなに大きゅうならんうちに、かたづけとくんじゃった。