Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
「今からでもいいわ。お張んなさい。きっと、丁方で、受ける方がありますから」
「張ります」
なんだか、ぼうとした気持になって、財布から、一枚の紙幣をつかみだした。それを、前の茣蓙のうえにさしだした。
「ほう、……十円」女は、わざとらしく、おどろいてみせて、「半方の若い兄さんから、猪が出ました。丁方で、どなたか、お合わせになる方はありませんか」
と、一座を見まわした。
「張った」
間髪を入れずにそういって、同じく十円札を出したのは、※であった。
金五郎と、※とは、顔見あわせて、人には通じない、異様な微笑をとりかわした。
「勝負」
もう一度、女は、そういって、ばっと、壺笊をあげた。
「半」
がやがやと、座はひとしきり、ざわめいた。
女は、負けた丁方の賭金を全部あつめ、半方の賭金額に応じて、それを分配した。どんな風に、テラ銭が差し引かれたのか、わからなかったが、金五郎の張った十円には、八円が配当された。
「兄さん、目が出そうだわね」
中盆の女が、二つの骰子を、手のひらで転がしながら、金五郎に笑いかけた。歯が美しい。
「おかげさまで、まぐれ当りいたしました」
急に、かえす言葉が見つからなくて、そんなとんちんかんな返答をした。