Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme

Aozora Bunko

先に上った豆八は、爪先き立ちして、電燈のスイッチをひねった。

金五郎が入って、さしむかいになると、声をひそめて、

「旦那、びっくりしなさんな」

「馬鹿に、おどかすなあ」

「これ」懐から、油紙に包んだ長方形の品を取りだして、「或る人から、旦那に送って来たもんでござすが、誰からと思わっしゃるか?」

「そんなこた、わからんな」

「昔、昔、昔の、女の人ですよ」

「ふウン……?」

「お京さんです」

「ほう」

「びっくりしましたばい。旦那も、びっくりしたか知れんが、わたしゃ、たまげてしもうた。心臓がでんぐりがえる気持がしましたよ。指折ってみたら、あれから、二十五年、お京さんが若松を出てから、もう、四分の一世紀も経っちょる。わたしが旦那との連絡係りになっちゃ居ったが、いつの間にか、こげん年月が経ってしもうた。なんの便りもないし、若松を出るときゃ、大層、病気で弱っとったけん、可哀そうに、てっきり、死んだもんと定めとりました。これが来たとき、幽霊が、あの世から郵便を寄越したのかと、正直、わたしゃ、ぶるぶる、ふるえましたばい。でも、正真正銘のお京さんからでした。……旦那、どうぞ、ゆっくり、ごらん下さい。