Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
おき下さい。……失礼しました」
金五郎は、ピストルを腹巻に入れると、扉を排して、外に出た。
廊下の外や、事務室には、大勢の子分たちが、緊張した様子で、群がっていた。しかし、応接間内の出来事については、なにも知らないらしく見うけられた。ドアに耳をくっつけたり、鍵穴からのぞいたりして、中の様子をうかがうようなことは、誰もしなかったのであろう。もし、そうしていたら、どんなに、金五郎が声を低めて、隠密行動をとったにしたところで、暴露していたにちがいない。
(危いところじゃった)
と、思った。そのときになって、慄然とした。
誰一人、金五郎が友田喜造をピストルで殺しに来た、などとは、気づきもしないのだ。日ごろから、金五郎の喧嘩ぎらい、柔和で、温厚な気質はよく知られている。いわば、暴力団からは舐められている。それが幸した。ただ、争議のことで、連絡か哀願かに来たものと定めて、深くは、金五郎の言動に注意しなかったのである。
出て来た金五郎を、人相のよくない連中が、凄味をきかせて、睨んでいた。けれども、応接間にいる親分から、なんの指令も出ないので、手出しはしなかった。