Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
「オヤジは?」
「東京に行ったわ」
「ふウン」時次郎は、ちょっと、張りあい抜けした表情を浮かべたが、「実は、長崎の高島炭坑で沈没炭引きあげの相談をうけてなあ、わし一人の手に負えんもんじゃけ、オヤジの力を借りようと思うて来た。早いがええけ、こげな天気のなかを飛んで来たんじゃが、……そうな、上京したな」
マンは、酒の燗をつけて出した。さしつ、さされつしながら、
「時やん、田舎で、あんたから、馬乗りを教えて貰うとったおかげで、うちの人を助けることが出来たわ」
しんみりした語調で、マンは、いった。
「一緒に、帝釈峡の方までも、遠乗りしたことがあったなあ」
時次郎も、遠い日を夢みる瞳になる。マンにはげしい思いをかけていた時次郎も、今は、四人の子の親である。
マンが、泊って行きなさい、とすすめたけれども、
「また――間男、見つけた。打ち斬ってくれる。……なんて、いうて、オヤジが飛びだすと困るけ、帰ろう」
そんなことをいって、笑いながら、吹き降りの中を、帰って行った。
また、四五日が経った。
なにか、政治上の大切な用件がある模様で、井上安五郎や、原田雲井が、数回、おとずれて来た。