Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme

Aozora Bunko

あたし、あなたを見て、母が命がけで惚れたわけがわかりました。あたしも、あなたに心底から惚れました。母があたしに乗りうつったのです。ねえ、金五郎さん、あたしの、……いや、母の、……いいえ、お京とお葉という、哀れな二人の女の一生の願いを、かなえさせて頂戴。

お葉は、そういうて、おれに抱きついた。お葉の身体は、七輪のごと、熱うなっとった。眼に一杯、水がたまっとる。

おれは、困って、黙っとった。

――金五郎さん、母は死にかかってます。死ぬ間際まで、一度はあなたとの思いをとげる日を夢にえがいています。もし、あなたがあたしのいうことを聞いて下さらなかったら、母は死んでも死にきれないでしょう。あたしは母に報告する義務があるんです。あなたは母の一生を台なしにし、今また、その母を見殺しにして、あたしの一生をも台なしにしてしまおうとなさるの? それでも、男なの? 人間なの? 血が通ってるの? 情があるの?

おれは、おかしなことに、そんなときに、鍛冶屋の清七のことを考えだしとった。清七がカンのにぶい奴で、朝、頭をたたかれて、夕方になって、アイタというほどのろくさい男じゃが、おれの方がよっぽど、カンが鈍い。