Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
喧嘩の方は、どっちが勝ったかわからないけれども、大村組から仕掛けて来たのであるから、浜尾組にお咎めはない。浮沈の瀬戸際を乗りきることのできた浜尾は、大よろこびだ。今日は、子分の全員を引き具して、遠足に出かけた。今ごろは、壇ノ浦を望む和布利神社の境内で、祝いの酒盛が、たけなわの時分である。
チヱは、盥を前にし、大儀そうな手つきで、洗濯に余念がない。背中に、二つになる男の赤ん坊を帯でくくりつけているが、腹の方は、もう臨月で、動くたびに息苦しいらしい。ときどき、肩で大きな吐息をつく。
五ツになる上の女の子は、マンが、バケツの中で、猫を洗っているのを、心配そうな顔つきで、のぞきこんでいる。泥溝に落ちこんだ猫は、マンの自由にされながら、おとなしい。しかし、こまかい毛にしみこんだ青黒い泥土は、石鹸でこするのに、なかなか落ちない。ひどく臭い。
「叔母ちゃん、猫、死なん?」
女の子は、涙ぐんでいる。
「安心なさい。死にはせんよ。でも、もう、ちょっと、気づかなんだら、仏さまになっとったかも知れんねえ」
「よかったねえ」
「ほんとに、よかったよ」
チヱは、笑いながら、
「おマンさんたら、しんから、猫好きね」