Japanische Klassiker mit Furigana
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えいほんどじょうりくせんのぜんや
英本土上陸戦の前夜
海野 十三
Lesen Sie 英本土上陸戦の前夜 (えいほんどじょうりくせんのぜんや) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.727 Zeichen · 72 Bildschirme
それからレモン水も欲しいし、序にチョコレートと南京豆とを買ってちょうだいなと、彼に金を渡した。
仏は、その金を握って、プラットホームに下りた。そしてアンにいわれた品物を、買い集めているうちに、列車は、ぽーっと鳴って動きだした。彼はもちっとで、ホームに置き去りにされるところだったが、いそいで駈けつけたので、やっと最後の車に飛び乗ることが出来た。
仏は、そのたくさんの買物を抱えて、十三号車まで辿りつくのに、人や荷物を分けていくため、たいへん骨が折れた。
やっと十三号車に辿りついて、アンの待っているコンパートメントに入ろうとしたとき、内側で、ひそひそと話声がしているので、彼は、はっと思って、足を停めた。
廊下に立って、そっと耳を澄ましてみると話しているのは、アンと、そしてもう一人は男の声だった。言葉は、フランス語だった。男の声は、いやに疳高い。アンが、もうすこし低く喋ってはと注意したが、その男の声は地声とみえて一向低くならなかった。
「……桟橋から飛びこんだときは、後悔したよ。なぜって、海の水は、冷え切っているのだからねえ」
「もっと小さい声で……」
「とにかく、そんなわけで、もぐれるだけもぐっていたが、モーターボートの追跡陣は、厳重だ。