Japanische Klassiker mit Furigana
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えいほんどじょうりくせんのぜんや
英本土上陸戦の前夜
海野 十三
Lesen Sie 英本土上陸戦の前夜 (えいほんどじょうりくせんのぜんや) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.727 Zeichen · 72 Bildschirme
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「それがいいわ。お互のためですもの」
アンは、機嫌をなおして、甘えるように、仏の腕にすがりついた。
列車はホームについていた。大時計を見ると、今発車という間際だった。仏は愕いて、アンを抱えるようにして十三号車に飛びのった。
7
リバプールからロンドンまでは、四百数十キロの道程があった。特別急行列車は、この間を十時間で走ることになっていた。だから、午後七時ごろには、ロンドン着の筈であるが、今は、ドイツ機の空襲が頻繁なので、いつどこで停車するかわからず、ひょっとすると、ロンドン入りは、翌朝になるかもしれないという車掌の談であった。
アンと仏とは、十三号車の中の、一つのコンパートメントを仲良く占領することが出来た。
この十三号車は、わりあいすいていたようである。誰も、この空襲下に、わざと縁起のよくない座席を選ぶ者もなかったからであった。
「あなたは、黙っていらしてよ。女が出る方がすらすらといきますからね」
アンが、そういったのは、車内に於ける乗客取調べのことであろう。もちろん、仏にとっては、そんな煩わしいことに、頭を使いたくなかったので、万事アンに委せることに同意した。