Japanische Klassiker mit Furigana
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えいほんどじょうりくせんのぜんや
英本土上陸戦の前夜
海野 十三
Lesen Sie 英本土上陸戦の前夜 (えいほんどじょうりくせんのぜんや) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.727 Zeichen · 72 Bildschirme
2
そして、お前の元首蒋将軍へよろしく――といったが、蒋といえば、中国人の名前じゃないか)
現在のことは、考え出せる力があった。しかし一週間前のこととなると、全く思い出せないふしぎさ。彼は、自分自身が、一体何者であるかを知ろうとして、焦った。
「おれは、中国人かな。どうも、おかしい」
そのとき、彼は、ふと自分の足許に転がっている紙包に気がついた。それは、監獄を出るとき、看守から渡されたものであった。
どうやら、これは、自分の所持品らしいが、一体中には、何が入っているのであろうか。その中にこそ、彼の素姓を語る貴重な資料があるのに違いない。彼は一大発見をしたように思い、声をあげて、大急ぎでその新聞紙包の紐を解いてみた。
中から、出て来たものは、一体何であったろうか?
2
一着の、長い中国服だ!
中から出てきたものは、裾も手も長い、まっ黒な地色の中国服であった。そのほかになにもない。
「中国服か、やっぱり……」
彼は、首を左右にふりながら、服の裏をかえしてみた。すると、そこに白い糸で、仏天青と、漢字が縫つけてあった。
「仏天青? はてな、これが、おれの名前かな」
仏天青といえば、中国人の名前のようである。