Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

えいほんどじょうりくせんのぜんや

英本土上陸戦の前夜

海野 十三

Lesen Sie 英本土上陸戦の前夜 (えいほんどじょうりくせんのぜんや) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.727 Zeichen · 72 Bildschirme

Aozora Bunko

いやだわ、うちの人は。あたしを忘れてしまうなんて」

「人ちがいだ。放してくれ」

仏は、女の様子に、変なところがあるので、彼女の手をふりほどいた。

「仏天青。あたしを捨てていくつもり。ねえ、仏天青」

「仏天青。おれの名前を知っているのか」

「仏天青。あたしは、妻の金蓮じゃありませんか」

仏は、おどろいた。全く、寝耳に水の愕きであった。彼の名前をいいあてたばかりか、その金蓮という女は、自分は妻だというのである。

「おれの妻はアンだ。それに、今また仏天青の妻の金蓮だと名乗る女が現れた。一体、これは、どういうわけだろう。どっちが本当かしら」

彼の頭は、こんがらがった麻糸のように乱れた。どうすればいいのやら、わけがわからなくなった。

困惑しきっている間に、時間がたってしまった。ふと気がついてみると、列車は、動いていた。しかも最終の車両が、もうホームの真中あたりへ来て、相当のスピードを出していた。

「おい、列車、待て。ああ、アン!」

だが、金蓮は、放さなかった。まるで、子供が母親の躯に縋りついて放れないように、金蓮は、ますます強く、彼の躯をしめつけた。

「こらこら、また始めたな。