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Japanische Klassiker mit Furigana

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えいほんどじょうりくせんのぜんや

英本土上陸戦の前夜

海野 十三

Lesen Sie 英本土上陸戦の前夜 (えいほんどじょうりくせんのぜんや) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.727 Zeichen · 72 Bildschirme

Aozora Bunko

列車旅行は、ますます不愉快さを高めていった。列車が、駅へつくたびに、彼は、車窓から顔を出して、もしやアンの乗っている列車が、同じホームについて、待っていないかと、一生けんめいに探したのであった。

そのうちに、こんな考えが、ふと頭の中に浮んだ。

(アンは、おれを捨てていったのではあるまいか。そうでなければ、バーミンガムの次の駅で下りて後から遅れて来るおれの列車を、待っている筈じゃないか)

アンは、彼を捨ててしまったのであろうか。とにかく、彼のために親切でないことだけは確かである。

(すると、やっぱり、あのボジャック氏というのが、アンの亭主であったのか。そしてボジャック氏、すなわちフン大尉という筋書か!)

彼は、胸糞がわるくなって、ぺっと、床に唾を吐いた。すると、隣りにいたイギリス人が、こっぴどい言葉で、彼の公徳心のないことを叱りつけた。

彼は、なんだか、もう生きているのが味気なくなった。

その味気なさは、列車がロンドンに着いてから、更に深刻味を加えた。

なぜといって、彼が最後の頼みとしていたところに反して、ホームの上には、彼を待っているアンの姿が、見当らなかったのであった。