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Japanische Klassiker mit Furigana

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えいほんどじょうりくせんのぜんや

英本土上陸戦の前夜

海野 十三

Lesen Sie 英本土上陸戦の前夜 (えいほんどじょうりくせんのぜんや) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.727 Zeichen · 72 Bildschirme

Aozora Bunko

その日、半日の散歩で、彼は自分が、世の中から忘れられた人であることに気がついて、それがどうも気になってたまらなかった。やっぱり彼は、何を置いても、自分の素姓を知ることが先決問題であると、そこに気がついた。

今や元気と常識とを取り戻した彼は、勇躍して、その仕事についた。また新たに、生きている張合いといったものが感じはじめられた。彼は、ふしぎに自分の体が、軽くなったように思った。

彼は、まず手始めに、中国大使館へ出向いた。そして、自分は仏天青であるが、自分の素姓は、どういうものであるか、果して、大使館参事官であるか、どうかと、たずねた。そして記憶を失ったことや、記憶恢復後において身近に起った事件を、差支えない範囲で、受附の前にくどくどと説明したのであった。

「大使閣下は、御不在です。そしてわが大使館には、あなたのような名前の参事官はいません。御返事は、これだけです」

と、木で鼻をくくるような挨拶だった。

「本当ですか。本当のことを教えてもらいたいものです。私は気が変ではありませんよ」

「誰でも、そういうよ」

と、受附子の言葉が、急に乱暴になって、

「わしは、ロンドンに二十年も在勤しているが、ついぞ、仏天青などというおかしな名前の参事官があった話を聞かないね。