Japanische Klassiker mit Furigana
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えいほんどじょうりくせんのぜんや
英本土上陸戦の前夜
海野 十三
Lesen Sie 英本土上陸戦の前夜 (えいほんどじょうりくせんのぜんや) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.727 Zeichen · 72 Bildschirme
駐英大使館では、彼は、大きな侮辱をうけた。そして朗かな気持がまた崩れてしまったのだ。
この上は、リバプールを通って、ブルートの監獄へいき、そこに残っている彼の素姓調書を見るより外なしと考えた。
十時間の後、彼はリバプールにいった。その夜は、ドロレス夫人の宿に泊めてもらうつもりで、この前の淡い記憶を辿って、見覚えのある露地へ入りこんでいった。
だが、ドロレス夫人の宿は、見当らなかった。ただ、一軒、入口の硝子が、めちゃめちゃに壊れている空家が目についた。どうもその家が、ドロレス夫人の宿だったように思うのであるが、入口の壁には、
“立入るを許さず。リバプール防諜指揮官ライト大佐”
と、厳かな告示が貼りつけてあった。
彼は、妙な気持になって、他所に宿を求めたのであった。
一夜は明けた。
その日こそ、彼は遂に楽しさにめぐり逢える日が来たと思った。
監獄生活をしていたなどということは、人に聞かれても、自分に省みても、甚だ結構でないことだったけれど、今日こそは、その監獄に保存してある調書の中から、知りたいと思っていた彼の素姓を押しだすことが出来るのかと思えば、こんな嬉しいことはなかったのである。