Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みつのあわれ

蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

室生 犀星

Lesen Sie 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.662 Zeichen · 174 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「五万円という金はおじさんの小説一つ書いたお金の高だよ、それだけ毎月きみに上げたらおじさんこそ、どう暮していいか判らない、まアせいぜい一万円くらいだよ、それで尠なかったら恋人はやめだ。」

「こまるわ、一万円じゃ。じゃね、クリイムだのクチベニのお金は時々べつの雑費として出していただけます?」

「それは随時に出すことにするよ、現金では一万円以上はとても出せないよ、金魚のくせに金取ってどうするつもりなの。」

「じゃ一万円でいいわ、ふふ、一万円の恋人ね、あたい、はたらくことにするわ、縁日の金魚盥に出てゆくわ。」

「そしてどうする。」

「買って行った人の家から、晩方にはおじさまの家に直ぐ逃げてもどるわ、あたいは一疋で三百円が懸値のないおねだんだから、逃げ出してはまた別の金魚屋に売られて、またおじさまの処に戻って来るわ。」

「見附かったらどうする、殺されるぜ。」

「人間って吝だから三百円もする金魚は決して殺しはしないわよ、それに、皆さんは金魚だけはどんな残酷屋さんでも、殺すもんですか、金魚は生涯可愛がられることしか、皆さんから貰ってないもの、金魚を見て怒る人もまた憎む人もいないわ、金魚は愛されているだけなのよ、おじさまも、それだけは頭に入れて置いてあたいをいじめたり、怒らせたりしちゃだめよ。