Japanische Klassiker mit Furigana
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おつきさまのうた
豊島与志雄童話集
豊島 与志雄
Lesen Sie 豊島与志雄童話集 (おつきさまのうた) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.569 Zeichen · 336 Bildschirme
しばらくすると、急に立ち上がって、両手を頭の上にさし上げ、それからまた屈んで、頭を垂れ、両手を組み、そんなことを何度もくり返し、そしてじっと猫の方を見つめました。
「それ、生きた、動いた。ね、動いた」
太郎は、ばかばかしくなりました。赤土の猫が生きて動く……そんなばかなことがあるものですか。
「動きなんかしないよ」と、太郎は言いました。
「よろしい。今度は動く」
キシさんはまた、前のようなことをくり返しました。禿げた頭が赤く、顔も赤くなって、一生懸命にやっています。もう、うす暗くなりかけていて、松林の中はしーんとしています。じっと見ていると、赤土の猫が……じりじり、前のほうに動きだして……。
太郎は目をみはりました。すると、それはやはり、赤土の猫でした。彼は頭を振りました。無理に言いました。
「明日、明るい時でなくっちゃ、わからないや」
「よろしい、明日、します」
二人は約束しました。太郎はびくびくした気持ちであくる日を待ちました。
――あんな人だから、何か魔法でも知ってるのかもしれない。いや、赤土の猫が動く、そんなばかなことがあるものか。でもさっき、少し動いたような気もした……。