Japanische Klassiker mit Furigana
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さけぬさんざ
避けぬ三左
山本 周五郎
Lesen Sie 避けぬ三左 (さけぬさんざ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.846 Zeichen · 22 Bildschirme
そのほうは小田原めつぼうのうえ、大納言さまが関東へご移封にあいなると聞いて、徳川のご運が遠くなったと考えたそうな」
「いかにも、仰せのとおりでございます」
「ちがう、それは大きな思いちがいだ」康政は力をこめて云った、「なるほどそのほうの申すとおり、駿遠参の地は都に近い、日本国の中央を押えている、松平家発祥の由緒ふかい土地だ、けれども三左、これらの土地はもう古いぞ」
「古いと仰せられますのは」
「古い、いかにも古い、昨日までは日本国中部の押えであった、だがいつまでも不動の押えではない、時代は変りつつある、古いものは絶えず新しいものに移る、関東は都から遠いが……見ろ、豊饒な山野が無限にひろがっている、箱根、碓氷を境にした彼方はあらえびすの国といわれ、土地も人も世の流れに染っていない、徳川家の力をもってこれを開拓し、正しくこれを経営をしたあかつきには、日本国をふたつにわかつ半分の大勢力となるだろう、しかもその民たちは新しく国土は若い力に満ちているのだ。わかるか三左」
「…………」
「大納言さまのおんまなこは大きい、そのはかりごとは深い、太閤どのは箱根の東へ追うことによって、徳川の勢力をそぐつもりであろうが、その箱根をまもりとして、葵の花は関八州に根をおろすのだ、新しい国土、新しい民たち……そのうえに葵の花をらんまんと咲かせる