Japanische Klassiker mit Furigana
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いさん
銀座復興 他三篇
水上 滝太郎
Lesen Sie 銀座復興 他三篇 (いさん) von 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.579 Zeichen · 82 Bildschirme
帽子をとっただけで、頭も下げずに、一隅に坐して黙した。
前の晩の連中のしわざであろう、そこいらには酒徳利や湯呑茶碗がころがり、何と弁別も出来ない臭気がいっぱい漂っていた。
当番の四人は二人ずつに分れて、交代で町内を廻った。彼と隣人の組も、交互に提灯を持ち、拍子木を叩いて廻った。彼は、内心馬鹿馬鹿しく思いながらも、隣人の心を引立てるために、無駄口をきいたり、はしゃいで見せたりしたが、隣人はあたかも彼の煉瓦の高塀の中に閉籠っていた精神そのもののように頑固に沈黙を守り、明白にこの往還へ出て来た事を悔んでいるのであった。
夜が更けるにつれて、弥次馬は一人へり二人へって、詰所には当番の四人だけが残った。大名華族の台所から、すいとんが運ばれ、駄菓子屋自身の家からは、商売物を盆にのせてかみさんが持って来た。
「さあ、頂こうじゃありませんか。」
「いかがです。」
「毎晩こういう風に何か御届物があるんですか。」
「こちらの御屋敷では、この御長屋を無代で貸して下さった上に、お茶だのお菓子だの下さるんです。」
「もっともここのうちが一番夜廻の恩恵に浴すわけだな。貸家は沢山持っているし、こうしていれば何より安全だから、少し位御馳走したっていいわけか。