Japanische Klassiker mit Furigana
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いさん
銀座復興 他三篇
水上 滝太郎
Lesen Sie 銀座復興 他三篇 (いさん) von 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.579 Zeichen · 82 Bildschirme
植込の向うに芝生があり、芝生の真中に池があって、晩夏の日を照りかえす水は、樹々の枝の間に強く光った。
「お隣はうちなんかと違って、随分ひどくやられたようね。」
妻は未見の世界を発見したもの珍しさで、突然目の前に展開された庭を幾度となく眺めてあきないのであった。それは自分の手の届かないものに対する明かなる羨望であった。
「あら、石燈籠が倒れているわ。」
「どこに。え、ママ、どこだったらさ。」
「あすこんとこよ。築山があって、大きな松の木があるでしょ。」
「ああわかった。やあい、石燈籠が倒れてら。」
子供を相手に、妻が裏口で話している声が、近々と聞える。
「賢ちゃん、いけない事よ。お隣に行ったりなんかして。叱られてよ。」
妻のたしなめる声の下をくぐって、子供は倒れた煉瓦の上にかけ上り、ともすると子供一流の好奇心から、一歩でも隣の土を踏みたがるのであった。
殊に、時折隣の庭の芝生で遊んでいるちいさい女の子の姿を見ると、仲間を求める欲求から、賢一は何とかして、自分の方へ女の子の注意を引こうとつとめるのである。
「あら、お隣にはあんな可愛らしい子がいたんですかねえ。ついぞ見かけた事もなかったのに。