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Japanische Klassiker mit Furigana

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いさん

銀座復興 他三篇

水上 滝太郎

Lesen Sie 銀座復興 他三篇 (いさん) von 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.579 Zeichen · 82 Bildschirme

Aozora Bunko

脚に巻きついたり、吹きまくられたりする白衣の裾を気にしながら、養子は先に立って歩いて行った。

青貝入の西洋櫛は、澤の目にも覚えのある物だった。きっとそこに落したに違いないと、確信をもって養子の云う幾時間か前にみんなが並んで腰を下した場所を、共々に探したけれど見つからなかった。

「どうしたんでしょう、確かにここに違いないんですが、拾われちゃったのかしら。」

養子は思い切れないで、幾度も同じ所を見て廻った。父親が自殺する前に、珍しく一緒に散歩に出た時買ってくれた遺品だった。並みでない死に方をした父に対して、執拗な愛情を持っている養子には、なくなしては申訳がないという気持もあった。

「やっぱりなくなしちゃったのかしら。」

あきらめ兼て、砂の上に長く影を投げて佇みながら未練らしく嘆息した。

「おや、雨かしら。」

たった一粒、ひやりとした頬ぺたに掌をあてて、澤は後の方の空を振仰いだ。先刻の雲が、月に向ってちぎれて飛んで行くのであった。

「雨ですよ。」

そう云うひまもなかった。はげしい夕立が砂地を打って落ちて来た。二人は砂山の下の、昼間は海に入る人の着物を預かる葭簀張の茶店の中にかけ込んだ。