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Japanische Klassiker mit Furigana

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いさん

銀座復興 他三篇

水上 滝太郎

Lesen Sie 銀座復興 他三篇 (いさん) von 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.579 Zeichen · 82 Bildschirme

Aozora Bunko

幸福でない自分の境遇に対して、先も不幸な身の上から、単に同情しているだけなのかもしれない。澤はふと、ついこの間雑誌で読んだ或有名な富豪の立志物語を想起した。

幼くて両親を失い、祖母の手に育てられた若者は、土地の大百姓の家の作男に住み込んだ。その時、その家の女中が、他の男達に対するよりも一倍親切に尽してくれた。どうしてもただの親切とは思われないで、或晩密かに忍んで行くと、女はいきなり横面をひっぱたいて、「身よりもなくて可哀そうだと思って、目をかけてやれば、つけあがりやがって、生意気な真似をしやあがる。」と云う意味の言葉を浴せかけた。這々の態で逃げ出すと、その夜の中に決心して東京を志し、辛苦の末に百万長者になったと云う話だった。

澤は、それが自分の話ででもあるような羞恥に、思わず知らず顔が火照った。

けれども、又一方から考えると、養子の示した態度には、横面を張飛ばすような侮辱はなかった。貴方はまだ学生ではありませんか、そんな事を云う時ではないじゃありませんかと、たしなめる心だったかもしれない。そう想いかえして、やや救われた心持になる事も出来たが、何にしても自分のひけめを感じるのは、消す事が出来なかった。