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Japanische Klassiker mit Furigana

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あおべかにっき

青べか日記

山本 周五郎

Lesen Sie 青べか日記 (あおべかにっき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.334 Zeichen · 76 Bildschirme

Aozora Bunko

予は既に此の為に五回、空しく氏の家を訪れたのである。氏は予に斯う云った。「あんな物を持ち廻ったところで、売れやしないぜ。」そして遂に原稿はみつからなかった。予は「では家にコッピイがとってある筈ですから宜しゅうございます」と辞して来た。予は帰後責任を問う手紙をしようと思ったが止める。上智と下愚は移らず。彼如きに大事な原稿を預けたのが予の過失であった。予は有らゆるものに信を喪った。予は全くの一人だ。家婦は予に爪を切る鋏を貸すことを断わった。剃刃を貸すことを断わった。世の中は如何に冷酷な無味乾燥な、埃まみれな場所だろう。今予はストリンドベリイの「青巻」を読んでいる。ストリンドベリイは毎度予にとっては最も大きく且つ尊く良き師であり友である。予は涙をもって彼の名を口にする。博文館に井口を訪ねた。望みは果されず、今日も数冊の書を売って金を得て来た。(一、一五)

予は反古紙の裏へ、確りと原稿を書き始めている。(原稿紙が無い為)「巨勢教授の実験」と云う長篇である。同時に「基督」のプランを立てる為、今「ルナン」「基督伝」を読んでいる。今日は非常に寒かった。今は未だ九時である。