Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Lesen Sie 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.879 Zeichen · 242 Bildschirme
「さ、行きましょうよ」
「お前も一パイのめ」
「ほら、ごらんなさい。そんなになさると嫌われてよ。ヤボテンねえ、先生」
「ヤボテンだって、オセッカイよ。あなたは何よ、芸者あがりのオメカケじゃないの。私は女房よ」
変ったところで気焔をあげる。庄吉もまだ限度のわかる酔態で、都落ちの悲惨まだ胸につかえて残っているから、案外おとなしく立ちあがる。マダムがスッと立ちあがり庄吉のうしろへ廻って二重トンビをかけてやろうとすると、女房は物も言わず、ひったくり、小さな庄吉を抱きだすようにグイグイ押して廊下へでる。
「先生、御上京待っててよ。すぐ電話で知らせてね」
庄吉がふりむいて挨拶しようとすると、女房は首筋へ手をかけ捩じむけて出口へ向けて突きとばし、庄吉はヨロヨロヒョイヒョイ突かれ押されて往来へとびだし、天下晴れて振りむいたら、もうマダムの姿はなかった。
「チェッ、ざまみろ、いいきみだ」
女房はプンプン怒っているが、マダムはたぶん部屋の中で笑いころげているだろう。女房よりも、然し庄吉がもっとからかわれ侮辱され弄ばれ嘲笑されている、それが庄吉には腹にしみて分るのだ。然し、己れのほかの何人も呪うべきものはない。