Japanische Klassiker mit Furigana
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Lesen Sie 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.879 Zeichen · 242 Bildschirme
果して井上友一郎がそうカン違いをして、編輯者の権威いずこにありやと云って大井広介にネジこんできたそうであるが、井上がそう思うのは無理もなく、それだけに、矢田津世子が、より以上に、そう思いこむに相違ないので、私の怒りは、ひどかったのだ。
けれども、そのとき、野口冨士男の話に、矢田さんが、原稿を郵送せずに、野口の家へとどけに来たという、矢田さんは美人ですねという野口の話をききながら、私はいささか断腸の思いでもあった。
まだ私たちが初めて知りあい、恋らしいものをして、一日会わずにいると息絶えるような幼稚な情熱のなかで暮していた頃、私たちは子供ではない、と矢田津世子が吐きすてるように云った。それは愛慾に就て子供ではないという意味ではなく、私たちは大島敬司という男にだまされて変な雑誌に関係していたので、大島に対する怒りの言葉であったが、私は変にその言葉を忘れることができない。
あなたは大人であったのか。私は? 私は馬鹿馬鹿しいのだ。何よりも、魂と、情熱の尤もらしい顔つきが、せつなく、馬鹿馬鹿しくて仕方がないのだ。その馬鹿らしさは、私以上に、あなたが知っていたような気がする。