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Japanische Klassiker mit Furigana

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いずこへ

風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇

坂口 安吾

Lesen Sie 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.879 Zeichen · 242 Bildschirme

Aozora Bunko

そのくせ、あなたは、郵便で送らずに、野口の家へわざわざ原稿をとどけるような芸当ができるのだが、それを女の太々しさと云ってよいのだか、悲しさというのだか、それまでを、馬鹿馬鹿しいと言い切る自信が私にはないので、私は尚さら、せつないのだ。

その頃から、あなたは病臥したらしい。そして、あなたが死んで、ハガキ一枚の通知になるまで、私はあなたが、肺病でねていることすら知らなかった。

私の母は私とあなたが結婚するものだと思いこみ信じていたが、ぐうたらな私に思いを残して、死んでいた。あなたのお母さんは生きていたのだ。あなたの死亡通知の中には、生きているアカシの、お母さんの名があったから。矢田チエという、私は名すら忘れてはいない。私の母以上に、私たちの結婚をのぞんでいた筈であった。私があなたの家で御馳走になり酔っ払うのを目を細くして喜んでいるお母さんであった。際限もなく私に話しかけるお母さん。けれども、その言葉は、あなたの通訳なしには、私には殆ど分らなかった。ひどい秋田弁なのだから。

死亡通知は印刷したハガキにすぎなかったが、矢田チエという、生きているお母さんの名前は私には切なかった。