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Japanische Klassiker mit Furigana

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いずこへ

風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇

坂口 安吾

Lesen Sie 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.879 Zeichen · 242 Bildschirme

Aozora Bunko

ほかに意味も翳もない単純な笑い顔だった。お人好しで、明るくて、頭が悪くて、くったくのない女であった。朝、目をさまして、とび起きて、紙フウセンをふくらまして、小さな部屋をつきまわって、一人でキャアキャア喜んでいたり、全裸になって体操したり、そして、急に私にだきついてゲラゲラ笑いだしたり、娼家の朝の暗さがないので、私はこの可愛い女が好ましかった。

窓をあけて青空を眺めたら、私は急に旅行に行きたくなった。女も大賛成で、私は人から貰って三日目ばかりの時計、これは全く私に縁がないようにその宿命が仕組まれていたとしか思われないほど高級品であったから、女は大いに気をきかし、勇み立ち、この質屋、あの古物商、知りあいの商店の旦那をよびだして、かけあったり、もういい加減で売っちゃえと云っても、ダメダメ安すぎる、大いにハリキッて倦むことを知らない。質屋の出入にも、腕をくるくるふりまわしながら飛んだり跳ねたり、ヘッピリ腰でのぞきこむかと思うと急に威勢よくコンチハと大きな声で戸をあけたり、まるで天性あらゆる宿命を陽気に送り迎えているとしか思われぬようだった。そして、私の沈黙の気質だの、陰鬱な顔附などを全然気にかけていなかった。