Japanische Klassiker mit Furigana
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Lesen Sie 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.879 Zeichen · 242 Bildschirme
部屋では酒も飲まないことにしていた。私は本能というものを部屋の中へ入れないことにしていたのだが食物よりも先ず第一に、女のからだが私の孤独の蒲団の中へ遠慮なくもぐりこむようになっていたから、釜や鍋が自然にずるずる住みこむようになっても、もはや如是我説を固執するだけの純潔に対する貞節の念がぐらついていた。
人間の生き方には何か一つの純潔と貞節の念が大切なものだ。とりわけ私のようにぐうたらな落伍者の悲しさが影身にまで泌みつくようになってしまうと、何か一つの純潔とその貞節を守らずには生きていられなくなるものだ。
私はみすぼらしさが嫌いで、食べて生きているだけというような意識が何より我慢ができないので、貧乏するほど浪費する、一ヶ月の生活費を一日で使い果し、使いきれないとわざわざ人に呉れてやり、それが私の二十九日の貧乏に対する一日の復讐だった。
細く長く生きることは性来私のにくむところで、私は浪費のあげくに三日間ぐらい水を飲んで暮さねばならなかったり下宿や食堂の借金の催促で夜逃げに及ばねばならなかったり落武者の生涯は正史にのこる由もなく、惨又惨、当人に多少の心得があると、笑いださずにいられなくなる。