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Japanische Klassiker mit Furigana

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いずこへ

風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇

坂口 安吾

Lesen Sie 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.879 Zeichen · 242 Bildschirme

Aozora Bunko

なぜなら、細々と毎日欠かさず食うよりは、一日で使い果して水を飲み夜逃げに及ぶ生活の方を私は確信をもって支持していた。私は市井の屑のような飲んだくれだが後悔だけはしなかった。

私が鍋釜食器類を持たないのは夜逃げの便利のためではない。こればかりは私の生来の悲願であって――どうも、いけない、私は生れついてのオッチョコチョイで、何かというとむやみに大袈裟なことを言いたがるので、もっともこうして自分をあやしながら私は生きつづけてきたのだ。これは私の子守唄であった。ともかく私はただ食って生きているだけではない、という自分に対する言訳のために、茶碗ひとつ、箸一本を身辺に置くことを許さなかった。

私の原稿はもはや殆ど金にならなかった。私はまったく落伍者であった。私は然し落伍者の運命を甘受していた。人はどうせ思い通りには生きられない。桃山城で苛々している秀吉と、アパートの一室で朦朧としている私とその精神の高低安危にさしたる相違はないので、外形がいくらか違うというだけだ。ただ私が憂える最大のことは、ともかく秀吉は力いっぱいの仕事をしており、落伍者という萎縮のために私の力がゆがめられたり伸びる力を失ったりしないかということだった。