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Japanische Klassiker mit Furigana

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いずこへ

風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇

坂口 安吾

Lesen Sie 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.879 Zeichen · 242 Bildschirme

Aozora Bunko

単なる秩序道徳の平静のみすぼらしさ、虚しさ、つまらなさ。人間の幸福はそこにはない。人間の生活がそこにない。人間自体がないのである。

もとより私自身が完全にその阿呆の一人であった。最も虚しい平静な馬鹿者だった。女を口説きもした。恋らしいものを語りもした。女自体が、どうせ戦争でめちゃくちゃになるのだと私よりもヤケクソに考えて、その魂は荒廃の最後のものにきておりながら、彼女はそれを気付かない。彼女はアイビキのときは晴着のモンペをきてきたが、その魂の荒廃は凡そ晴着には似合わぬものだ。

私が日映へたまにでかけると、専務の部屋は四階にあるのだが、エレベーターがなくなったので三尺ぐらいの幅の細い階段を登って行くと、ブルースをだらしなく着て下駄をガチャガチャひきずった男の事務員が、これも汚いモンペに下駄の女事務員と肩を組み、だらしなく抱きあいながら私の前を登って行く。三尺後から私が歩いていることなどは平気であった。それが荒廃した魂の実相なのであり、虚しい平和の実相なのである。凡そ晴着などとは縁のない魂で、そして、明日の希望というものの一つのかすかな光の影の裏打も有り得ない。