Japanische Klassiker mit Furigana
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Lesen Sie 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.879 Zeichen · 242 Bildschirme
何のハリアイも持っていなかった。そしてただ快楽のままに崩れて行く肉体だけがあった。
「あなたはむずかしい人だから、あなたと結婚できないわ」
と女はいつも言った。そうだろう、女にはハリアイというものが心にないのだから、多分、多少とも物を考える男の心が、みんなむずかしく見えて、なじみ得ないのであろう。女はひどく別れぎわが悪くて、停車場まで送ってやると、電車がきても何台もやりすごして乗らず、そのくせ、ニヤニヤしているばかりで、下駄でコツコツ石を蹴ったり包みをクルクル廻したりしながら、まったくとりとめのないことを喋っている。そうかと思うと、急にサヨナラと云って電車に乗ってしまう。何も目的がないのだ。
この女はただ戦争に最後の大破壊の結末がきて全てが一新するということだけが願いであり、破壊の大きさが、新たな予想し得ない世界への最大の味覚のようであった。
女は私の外に何人の恋人があるのか私は知らなかった。私一人かも知れなかった。時々風のように現れた。私は訪ねなかった。
「あなたのところ、赤ガミが来ないのね」
「こないね」
「きたら、どうする」
「仕方がないさ」
「死ねる」