Japanische Klassiker mit Furigana
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Lesen Sie 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.879 Zeichen · 242 Bildschirme
言うまでもなく私自身がこういう自分を軽蔑している。然し旅には旅愁という素朴な魔物がいるのだ。私の旅愁やら理知を逃げる傷心やらが旅先の女に投影されているのだから、女が救いにも見える愚かな一時があるのも莫迦らしいと言いながら時々仕方がない時もある。
なんの用もないのに突然ふらりと故郷の新潟市へ行った。私の生家はもうないのである。食堂車で二合瓶を十六本平げた時で、新潟へ着いてからどういう順でこんな宿屋へ来てしまったのだろうといくら考えても分らなかった。翌日幼馴染の婦人に会った。私と同年配だから女としてはもう年増だ。一緒に食事をし、ダンスホールへ案内されたが私は踊りを知らない。ソファに埋もれてぼんやりしていると、女も踊ろうとはしないで矢張りソファに埋もれてボンヤリしている。東京のダンスホールと違い、田舎のダンスホールは設備こそ匹敵するが踊る人は数える程しかいないからちっとも陽気じゃない。朦朧と疲労して外へでると、暫く沈黙をつづけて歩いたのち、急に女が私は自殺のことばかり考えて生きつづけていると言いだした。だけど一人じゃ死にたくないと言ったのである。自殺は好きじゃないと私は答えた。