Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

いずこへ

風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇

坂口 安吾

Lesen Sie 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.879 Zeichen · 242 Bildschirme

Aozora Bunko

そしてその日はそれだけで別れた。

私は聖母の理想というものと自殺とは同じものの裏と表だと考えている。そしてどちらも好きになれない。そのくせこの旅先ではこの一夜から急に自殺――心中のことを偏執しはじめた。そしてそれが自然に見えた。

翌日もその翌日も、それからの十日程というものは毎日女に会っていたが、今日こそ心中のことを切りだして一思いに死んでやろうという考えで会うのだが、この重圧ある意識に疲れてそんなことをおくびにも出さないばかりか異様に疲れてしまった。到頭こんどは故郷を逃げて一目散に東京へ帰ってきた。

帰る汽車の中で、もう新潟の自分の心が夢のようにしか思いだせなかった。私は汽車の中で考えつづけた。だいたいダンスホールへ這入っていながら踊らないなんてことがこういう阿呆な感傷に落込むもとなんだ。ダンスホールのソファに埋もれ、踊りもしないでボンヤリしているなんてことは、まったく古典的な精神的風景美があるからな。この風景美は大いに排撃すべきだ。よろしい、ダンスを習おう。ダンスホールへ這入った時はダンスをするようにさえすれば、こういう愚劣な哀愁にまどわされる筈はありえない、と。